「佐賀 何もない」は本当?地元民が数字で答える
「佐賀って、新幹線で長崎に行くときの通り道でしょ?」。佐賀市に住む筆者が、県外の人に実際に言われた言葉です。魅力度ランキング(ブランド総合研究所)でも佐賀県は2022年に47位、2024年も47位。2025年でようやく45位。たしかに数字の上では、通り道扱いされても仕方ない立ち位置です。
ちなみにその新幹線、実は佐賀県内の整備は目処が立っていません。武雄温泉から長崎までは開業済みですが、佐賀県は残り区間の整備に合意しておらず、協議は長期化しています。「通り道になるだけなら、いりません」。そう言っているようにも見えて、筆者はこの意地っ張りなところが割と好きです。
でも、地元民として言わせてください。佐賀にあるのは「何もない」ではなく、「知られていない」です。この記事では、イメージではなく数字と事実で反論していきます。
この記事でわかること
- 「何もない」イメージの正体(魅力度ランキングの中身)
- 実は全国トップクラスの佐賀の食・祭り・歴史
- 福岡からたった36分で行ける理由
まず「何もない」の正体から
魅力度ランキングは、全国約3万3千人に「この県は魅力的ですか?」と聞くイメージ調査です。観光資源や食の実力を専門家が採点したものではありません。訪れる機会が少ない県ほどイメージ点は伸びにくく、佐賀もそこで損をしています。
実際、順位は最下位圏でも佐賀の点数自体は2021年の12.8点から2025年の15.4点へ、5年間で上昇しています。「魅力が落ちている県」ではなく、「まだ知られていない県」。ここを押さえたうえで、中身を見ていきましょう。
食:実は「日本一」がゴロゴロある
海苔は販売枚数・販売額で日本一
コンビニのおにぎりでおなじみの海苔。2025年度漁期、佐賀県産海苔は販売枚数・販売額ともに日本一へ返り咲きました。販売額は過去最高の285億円。国産海苔のおよそ2割は佐賀市産です。有明海の大きな干満差が育てる、佐賀を代表する特産品です。
米・お茶・牛も全国レベル
- さがびより:米の食味ランキングで最高評価「特A」を16年連続獲得(2010年産〜2025年産)
- 嬉野茶:全国茶品評会で個人最高賞の農林水産大臣賞を3年連続受賞
- 佐賀牛:肉質等級4以上・BMS No.7以上という厳しい基準を満たした牛だけが名乗れるブランド。全国和牛能力共進会での農林水産大臣賞受賞歴もあります
- 呼子のイカ:唐津市呼子町は「イカの活造り」が生まれた町。透き通ったイカが皿の上でまだ動いています
呼子のイカは筆者も実際に食べに行きました。とにかく新鮮で、コリコリとした食感がまるで違います。刺身で食べたあとの「後造り」は天ぷらにしてもらえて、一杯のイカで二つの味を楽しめるのも呼子ならでは。正直、イカの概念が変わります。
「何もない」どころか、朝ごはんに乗る海苔とお米だけで、これだけの実力が並ぶ県です。
祭り:人口2万人の町に117万人が来る
イベントの集客力は、イメージと違って全国屈指です。
| イベント | 規模 |
|---|---|
| 佐賀インターナショナルバルーンフェスタ | 来場者80万人超(2025年)。アジア最大級の熱気球大会 |
| 有田陶器市 | 来場者117万人(2026年)。人口約2万人の町に、その50倍以上が集まる |
| 唐津くんち | 3日間で最高64万人(2024年)。ユネスコ無形文化遺産 |
特にバルーンフェスタは、100機を超える熱気球が秋の空を彩る、国内でも数少ない大規模な大会です。累計来場者は3,000万人を突破しています。詳しくは当サイトのバルーンフェスタガイドにまとめています。
温泉と建築:美肌の湯と東京駅の建築家
嬉野温泉は「日本三大美肌の湯」として紹介される、なめらかな湯ざわりで知られる温泉です。筆者も行きましたが、お湯はもちろん、嬉野はお茶と湯豆腐の町でもあります。温泉湯豆腐はとろけるような口あたりで、嬉野茶との相性も抜群。湯上がりに食べる嬉野茶ソフトクリームまでがセットです。温泉だけ入って帰るのは、正直もったいないと思います。
武雄温泉のシンボル・朱塗りの楼門は1915年完成、設計に関わったのは東京駅や日本銀行本店を手がけた建築家・辰野金吾。国の重要文化財です。東京駅を知っている人なら、楼門を見上げたときに「あ、親戚だ」と感じるはずです。
歴史:磁器も近代化も、始まりは佐賀
- 有田は日本磁器発祥の地。有田焼は400年以上の歴史を持ちます
- 唐津焼は「一楽、二萩、三唐津」と並び称される国指定の伝統的工芸品
- 吉野ヶ里遺跡は約40ヘクタールに及ぶ国特別史跡。邪馬台国論争を再燃させた弥生時代の巨大環濠集落です
- 幕末の佐賀藩は、日本で初めて反射炉による鉄製大砲の鋳造に成功。日本の近代産業化は佐賀から始まりました
「日本初」「日本発祥」がこれだけ揃っている県は、実はそう多くありません。
しかも博多から36分で着く
ここまで読んで「でも遠いんでしょ」と思った方へ。博多駅から佐賀駅までは特急で約36分です。福岡から気軽に日帰りで足をのばせる距離で、旅行先というより福岡観光の「もう一品」に足せる近さです。
佐賀県自身も「知られていない」ことは自覚済み
面白いのは、佐賀県がこの状況を逆手に取っていることです。県名とゲーム「サガ」シリーズの同音を活かしたコラボ「ロマンシング佐賀」は2014年から11年以上続き、10周年事業はジャパン・ツーリズム・アワード地方創生部門の金賞を受賞しました。ラッピング列車やマンホール巡りなど、ゲームの世界観を県内の周遊に結びつけ、旅の動機づくりに成功しています。
知名度で勝負できないなら、名前ごと遊びに変えてしまう。この割り切りの良さも、佐賀の魅力のひとつだと思っています。
まとめ:何もないのではなく、知られていないだけ
- 魅力度ランキング最下位圏はイメージ調査の結果。点数自体は5年連続で上昇中
- 海苔は日本一、米は16年連続特A、お茶は3年連続日本一クラス
- バルーンフェスタ80万人、有田陶器市117万人と集客力は全国屈指
- 磁器発祥・日本初の反射炉など「日本初」の宝庫
- 博多から特急36分。福岡旅行のついでに来られる
「佐賀 何もない」と検索してこの記事にたどり着いたあなたは、もう佐賀に興味がある人です。まずはバルーンフェスタか有田陶器市、どちらかの時期に足を運んでみてください。帰るころには、「何もない」の意味がきっと変わっているはずです。
参考:佐賀県公式サイト/佐賀県公式観光サイト「あそぼーさが」
